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『今からヒカルが星を用意する。それが最後のチャンスだと思うんだな! ヒャハハハハハハハ』
星……?
俺はイエスに悟られないようしながら、ゆっくりと視線だけをヒカルに向けた。
ヒカルはボロボロになりながらも、俺の事をじっと見ていた。
交わる視線の中で、ヒカルが俺に何かを伝えようとしている。
その視線が何を語っているのかは、すぐに分かった。
あいつの事を信用する……?
頭の中では今までのブラックアウト内での出来事が駆け回り始める。
過去を見る能力を持ってから、思い出す事という行為自体がまるで映像のように思い浮かんでくるようになってしまった。
正直、ブラックアウト内でヒカルに対して、とてもじゃないが良い思いは一度もしていない。
だけど……。
次に浮かんでくる光景は、施設に居た頃の思い出。
優しくしてくれる京香さんの側に立っているヒカル。
その姿は、今では考えられないほどの愛と優しさに満ち溢れたものだった。
これはヒカルを信用するわけじゃない。
京香さんに対するアイツの想いを信じるんだ。
それは俺がはるかに対して想うのを同じ気持ち……。
俺はヒカルから視線を外すと、小さく頷いた。
黒い星の力を俺に貸してくれ。
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