誰か一人が……-2-2

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イエスが拳を構えて振ってくると同時に、俺は全力で宙へ全力で跳んだ。 地面に拳が突き刺さると、激しい破壊音が奏でられて巨大な土の塊が周囲に激しく舞う。 「くっ!」 俺は光刀を片手で持つと、もう片方の手で視界を塞いだ。 『馬鹿。岩は私が防ぐから君は攻撃に集中しろ』 僅かに俺の体を取り巻いている白煙が、次々と飛んでくる岩をガードしてくれる。 俺は宙を舞いながらもイエスの様子を窺った。 沈んでいく地面に立ちながらも、イエスは俺の方を真っ直ぐ見上げている。 その状態で、右腕を上げて手の平を俺に見せてきた。 『次の攻撃だ! 来るぞ!』 手の平が歪んで見えると、イエスと俺の間の空気が斜めにずれるように傾いた。 空間が歪むほどの衝撃波。 これは防ぎようがない! 白煙が俺の前に立ちはだかり、何とか防ごうと試みるが、ガラスが割れるように打ち破られる事は明白だった。 「――――!」 衝撃波がこっちに向かって迫ってきた時、俺の体をさらうようにして僅かな黒い煙が出現する。 優くんの闇刀か! 折れた闇刀の黒煙は光刀よりも少ないものだったが、衝撃波から逃げる為の軌道に入るのには十分だった。 ぎりぎりのところで衝撃波が俺の真横を通過していく。 このままもう一度、イエスに仕掛ける。 俺は一気に落下しながらも、イエスに向かって光刀の切っ先を構えた。
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