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イエスが拳を構えて振ってくると同時に、俺は全力で宙へ全力で跳んだ。
地面に拳が突き刺さると、激しい破壊音が奏でられて巨大な土の塊が周囲に激しく舞う。
「くっ!」
俺は光刀を片手で持つと、もう片方の手で視界を塞いだ。
『馬鹿。岩は私が防ぐから君は攻撃に集中しろ』
僅かに俺の体を取り巻いている白煙が、次々と飛んでくる岩をガードしてくれる。
俺は宙を舞いながらもイエスの様子を窺った。
沈んでいく地面に立ちながらも、イエスは俺の方を真っ直ぐ見上げている。
その状態で、右腕を上げて手の平を俺に見せてきた。
『次の攻撃だ! 来るぞ!』
手の平が歪んで見えると、イエスと俺の間の空気が斜めにずれるように傾いた。
空間が歪むほどの衝撃波。
これは防ぎようがない!
白煙が俺の前に立ちはだかり、何とか防ごうと試みるが、ガラスが割れるように打ち破られる事は明白だった。
「――――!」
衝撃波がこっちに向かって迫ってきた時、俺の体をさらうようにして僅かな黒い煙が出現する。
優くんの闇刀か!
折れた闇刀の黒煙は光刀よりも少ないものだったが、衝撃波から逃げる為の軌道に入るのには十分だった。
ぎりぎりのところで衝撃波が俺の真横を通過していく。
このままもう一度、イエスに仕掛ける。
俺は一気に落下しながらも、イエスに向かって光刀の切っ先を構えた。
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