終焉の宴

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「リリルさん!」 そうだ……。光の中から現れたのは……レッドキングダムの中でもナンバー2で、俺たちとずっと携わってきたはずのリリルさんだった。 リリルさんは、ゆっくりと地上に降りてきて音も立てずに着地をした。 「まさか君がこんな力を身につけるとは予想外だったよー」 メインストーリーに入る前に会ったリリルさんとは何一つ変わっていない。 「どうして世界の王がリリルさんなんだ!」 光刀を持っていない方の手が自然と震えて握り拳を作り出す。 「最後まで悩んだんだ。世界の王になるべきなのか。それともプレイヤー側として残るべきなのか。でも、自分が選んだ答えがこれだった」 リリルさんから感じる並々ならぬ覚悟。 「ふざけるな……どれだけ俺たちがあんたを信頼していたと思うんだ」 レッドキングダムが、人と人が助け合う素晴らしい場所だった。 作ったのは王なのかもしれないけど、ナンバー2だったリリルさんだってその考えには共感していたはずだ。 今まで知ってきたリリルさんとの思いでが全て消え去っていく。 リリルさんだって、世界が変わる瞬間をずっと反対して生きてきたはずの人間なのに……。 それなのに、なんでこんな結果になるんだ。
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