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『伏せろ!』
柱のように登っていた炎が大きく捻じれ始める。
それは目を疑う光景だった。炎が回転している。
「逃げるんだ!」
炎の柱の近くに比較的近くに居るルイたちに向かって叫んだのは優くんだった。
その直後、回転していた炎の柱が爆発するように一気に飛散した。
辺りには炎の塊が凄まじい勢いで降り注ぐ。
俺が伏せると同時に、光刀から広がっている白煙が盾のように守ってくれる。
「きゃああああああああああ!」
それぞれが自分の身を守る為に対応しようとするが、どうなっているのかははっきりと見えない。
炎の塊が地面に衝突する度に、小規模の爆発が繰り返される。
まずい。美沙と杏奈を助けないと!
『堪えろ! 今、動けば君も無事じゃ済まない! 触れれば体が一瞬にして溶かされるぞ!』
「くっ」
あっという間の出来事だった。さっきまで美しく広がっていた花畑は、火の手に飲み込まれていく。
どれくらいの時間が経っただろう。
やっと少しずつ舞い上がっていた粉塵が晴れていく。
少しずつ見えるようになった景色を見て、俺は茫然とした。
ついさっき見た光景とは全く別の場所に居るようだった。
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