約束の二人

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 やっと逢えたよ――  くたびれた駅の待合室。  突然そう声を掛けられた少女は、読みふけっていた本を膝の上に置き、ふと顔を上げる。  見た事のない少年――誰? 「君を迎えに来たんだ」  五年前の夏――  この駅で人が電車にはねられる事故があった。  以来、事故が起きた同じ日に、少女は毎年現れる。 「君はもう……死んでしまっているんだよ。……記憶がないままに、ずっと彷徨っているんだ」  死んでる? 何の事? ――少女は怪訝な顔をする。 「君はたぶん……これを探しに来たんじゃないかな?」  キラリ、少年が出した右手から何かが垂れる。  ――あっ、それはっ! 「そう、これは君の宝物。……僕が君に贈ったペンダントだよ」 「あなたは誰なの?」  五年前の今日、君と心中したんだ。  このペンダントをお互いに握りしめ、永遠の愛を誓って一緒に電車に飛び込んだんだよ。
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