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男は小さな田舎の駅に降り立った。
小さな待合室があり女子高生が本を読み耽っており気配に全く気付かない。
B「その本、面白いの?」
彼女が初めて顔を上げた。
A「面白いなんてもんじゃありませんよ。作者、朝比奈啓太さんは天才です!」
B「へえ。知らないなあ。」
A「え?知らないんですか?あの直木賞作家、今や時の人ですよ?あなたは世捨て人なの?」
B「はは、世捨て人なんて随分古めかしい言い方だね。」
A「どうせ本なんて読まないんでしょ?貴方そんな感じだわ。」
B「そんな風に見える?今度、その本、本屋さんで探してみるよ。」
A「私、朝比奈先生の大ファンなの。顔も年齢も素性は一切謎。会いたいけどこんな田舎じゃサイン会とかなさそうだし。」
その時、男の胸のポケットの携帯が鳴った。
開くと数十件のメールが溜まっていた。
「朝比奈先生!どこにいらしてるんですか?締め切りが近づいています。至急ご連絡を!」
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