バーサス!

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「やかましい」 俺は祐介の肘を押し返す。 しかし祐介が口を挟まず黙って見てたというのも何だか不可解な話だ。 いつもだったらこのテの話、面白半分にしゃしゃり出てくるんだけどな。 「あの子、一年生だろ?」 考え込む俺を祐介は覗き込む。 「ほう。 ……という事は由香と同級生か?」 由香とは祐介の一コ下の妹だ。 何となく祐介に似ていて……まぁ、当然か。 人懐っこくって可愛い。 由香も同じ高校なのだ。 「そういう事になるな。 可愛いから有名なんだぜ?」 しみじみと祐介は言う。 何故か祐介は情報網が広い。 「そうなのか?」 確かに可愛かったな、うん。 「お前そういうとこ疎いもんな」 ニヤニヤしながらいう祐介。 「悪かったな」 別に興味がないわけではない。 マドンナ的存在は俺には分相応ではないと思っているだけだ。 ていうか、女子はあまり得意ではないだけなんだが……。 その点祐介は誰とでも仲良くなる。 羨ましい性格だぜ。 「せいぜい上手くやれよ」 祐介は俺の肩をポンポンと叩き去っていった。 「ういうい」 上手くってなんだよ、上手くって。 全く……。
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