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――美術室――
そう。
俺達は美術部員。
空手とはかけ離れてるが、これは俺達が出した結論だった。
俺も祐介も絵を描く事は好きだったから、中学時代から美術部員としてやっている。
結構やりだしたら楽しい。
絵を描く合間にも道場に通って空手もたしなんでいる。
これが俺達が決めたルールなんだ。
「たっちゃん、絵が上手くなったんじゃない?」
俺のキャンバスを覗き込み祐介が言う。
「そんなことないよ」
祐介に褒められて嬉しいけど素直に「ありがとう」って言えない。
「あるある。
僕の目に狂いはない」
そう言って祐介はわざと目を見開いた。
「賞を総なめにしている祐介に言われたら悪い気はしないがな」
祐介には美術的な才能もあった。
出展する度に何かしらの賞をかっさらってきた。
俺はというと……。
たまに賞が取れればいい方だ。
いつも俺の前を行く祐介。
祐介には勝てる気がしない。
「たっちゃん、たっちゃん」
何故かおれのうでをグイグイと引っ張る祐介。
次から次に忙しいな。
「何だよ」
引っ張られた勢いで俺は立ち上がってしまった。
「お客さんだよ?」
そう言って入り口を指さす祐介。
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