バーサス!

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「あ?」 そっと俺は振り返る。 「ほら、こっち見てる」 何やら嬉しそうに祐介は言う。 「俺にか?」 セミロングの黒い髪に可愛らしいカチューシャを付けた小柄な女の子。 大きな瞳でもの言いたげにこちらを見てるが……。 俺じゃなくて違う奴っていう可能性も大いにある。 でもあの子。 何処かで見た事あるような……。 「間違いない!」 確信を持った祐介は俺を勢いよく押す。 何処からその確信が出てくるんだよ。 「こら、押すな!」 祐介の押す力が強く、俺は強制的に前進させられた。 そして女の子の前に到着。 「あ、あの……」 目の前に現れた俺達二人に困惑する女の子。 そりゃそうだろう。 いきなりヤロー二人登場したら戸惑うだろう。 「俺に用か?」 さり気なく俺は聞いてみる。 「お、お礼言いたくて……」 モジモジしながら女の子は言う。 一瞬、祐介の方に視線を送った気がしたが……気のせいか? 「お礼?」 お礼参りの間違いじゃないだろうな? 俺、この子に何かしたか? 「この間、変な人に絡まれてた時助けたお礼。 あの時はありがとうございました!」 女の子は深々と俺に頭を下げた。
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