私について

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なのに、入試の二週間前、何年も音信不通だった父親が急に電話してきた。 中学生でも働ける仕事でコツコツ貯めて買った携帯、なんで番号知ってんだ。 定時でなく普通科の高校に行け、と。 入学金も授業料も出すからと。 まだまだ甘かった私は疑いつつも信じてしまった。 二週間前なのに無理言って希望を変えた。 元々行こうと思ってたとこが偏差値高いとこで頑張ってたから、念のためランク下の高校にして、受かった。 制服、入学金は自分で貯めたお金でなんとかなった。一時的に立て替えたつもりだったから入学式終わって父親に電話。 「おかけに電話は…」 また騙された。 結局授業料も生活費もバイトで補わなければいけなくなった。 昼は働けないからバイト掛け持ち。 足りないから奨学金も申請した。 10年経った今でも払い続けてる。 おかしいよね、この間、家に母親いるのに。 ご飯代も何もかも全部自分って、なんでかな。 兄たちは学校も食費もだしてもらってるのに。 なんでかな、でもそうしなきゃいけなかったんだ。 親に刃向かう元気もなかった。 でもまぁ、弟が大きくなったため子守はしなくてよくなり、初めて部活動というもの出来た。 バイトがあるから休みがちではあったものの生まれて初めて「青春」ぽいことが出来た。 普通高校に行けて良かったなと思うのは部活出来たことかな。 勉強も嫌いじゃなかった。 誰かに何か知らないことを教えてもらうのは好き。 授業は楽しくてしょうがなかった。 睡眠が足りなくて寝てしまった授業なんかは本気でもったいない。 授業料払ってるのに、寝るなんてもったいない。 もっとしっかり勉強したかった。 そして卒業してからは当たり前のように就職した。
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