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「でも、おかげで、彼女と出会えた。」
「あっはは。雪らしくない、随分ポジティブだな。」
「だって、本人が気にしない、気にしないって言うから。」
「そっか……」
まだ見ぬ弟の彼女さんを想像してみる。
華奢で、気高くて、繊細で、とても強い女の子。
ならーー
「あのページ、真ん中の部分はカットして、お前の感想を入れよう。」
「春兄?」
「あと、彼女の表情がどう見えたかを、もう少し分かりやすく。
彼女の口の動きを追う感じを、もう少し出して表現しよう。
ここは、カット。代わりにお前の回想を入れて……」
「春兄?」
彼女がこれを読んだ時、お前のことをもっと分かってもらえるように。
そして、お互いの気持ちがどれくらい伝わっているのか、
彼女が確認できるように。
「いい作品にしような。」
「……うん。」
「それで、大切に思える作品にしよう。」
「うん。」
「俺も、協力するから……」
「春兄……ありがとう。」
「うん。」
これはただのプレゼントじゃない。
確かめた方がいいことを、二人が分かりあう為に、必要な作品なんだ。
そして俺の大事な弟が、
好きな人と、楽しく、幸せに、過ごせたらいい。
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