#06 * 春雪

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先に切って配り終えた俺は、姫の顔をじっと見ていた。 いつ喋り出してもいいように、備えて。 ずっと見ていると、ふと、この子を知っているように思えてきた。 歌子、という名前には覚えがない。 忘れてしまったのかもしれない。 でも、俺は確かにこの子を知っている気がする。 いつ、どこで、会ったんだっけ…… この頬に影をさす長いまつ毛、白い肌、凛とした顔立ち、 確かに、見覚えがあるんだけど…… <春くん> 「な、何でしょう?」 <くばり おわったよ> 「あ、あぁ、はいはい。雪! 早くしろ!」 「はーい。今行く。」 雪も姫も楽しそうにトランプで遊んでいる。 その無邪気な笑顔にも、やっぱり見覚えがある。 何で、思い出せないんだ…… それにこの子は、俺の事を知らないみたいだし、 雪も昔の知り合いだなんて事は言ってなかった。 俺の気のせいなんだろうか。
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