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<やっぱり 春くんには きづかれる きがしてた>
「そう?俺、記憶力はいい方だからな。」
<春くん すぐにわかったよ かわらないんだね 春くんは>
「そうかな……自分では分からないけど。」
「お待たせ!遅くなってごめん……はい、これ、プレゼント。」
<ありがとう>
雪が戻ったから、話は中断した。
うたちゃんは丁寧に包装を開けると、驚いたように顔を上げた。
<このほん てづくり?>
「手作りっていうか、雪が書いたんだ。オリジナルで。」
「あまり自信ないんだけど……
歌子さんが読んだ事ない本が、分からなくて。」
<うれしい! かえったら よむね!>
「そうしてくれ。ここで読まれると、俺の居場所なくなるから。」
「やめてよ春兄!」
<?>
三人で遊ぶのは、10年ぶりか。
雪、ちゃんと思い出してやれ。
当時の彼女は、普通に声を出して話せる、普通の女の子だったこと。
彼女の声を、早く思い出してやれ。
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