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「雪はお兄ちゃんいないと、すーぐ怪我するんだから。」
「雪将が心配だから、春雪、見ててやってくれ。」
弟は、俺や両親から心配され、叱られ、守られる。
でも俺はというと、
「春雪なら一人でも大丈夫だな。」
「春くんなら安心ね。お願いするからね。」
「古谷になら任せられる。頼んだよ。」 だ。
子供はそれを嬉しいとは思わない。
寂しいと……悲しいと、思うんだ。
名ばかりで特に友情も感じられない友達も、
やたら周囲を囲ってくる自他校の女子たちも、
生まれ持った条件も全て、
弟には手に入らなくて、俺にはいらないものだった。
どうして、足して二で割ることができないのか……
どうして、兄弟でこんなにも違ってしまうのか……
嫌な事があるといつも考えてしまう。
ある意味では俺の存在が負担となり、
いじめの原因にもなっているのに、
弟は……雪は俺を慕って、兄として尊敬してくれる。
こんな、俺なんかを。
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