#06 * 春雪

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「雪はお兄ちゃんいないと、すーぐ怪我するんだから。」 「雪将が心配だから、春雪、見ててやってくれ。」 弟は、俺や両親から心配され、叱られ、守られる。 でも俺はというと、 「春雪なら一人でも大丈夫だな。」 「春くんなら安心ね。お願いするからね。」 「古谷になら任せられる。頼んだよ。」 だ。 子供はそれを嬉しいとは思わない。 寂しいと……悲しいと、思うんだ。 名ばかりで特に友情も感じられない友達も、 やたら周囲を囲ってくる自他校の女子たちも、 生まれ持った条件も全て、 弟には手に入らなくて、俺にはいらないものだった。 どうして、足して二で割ることができないのか…… どうして、兄弟でこんなにも違ってしまうのか…… 嫌な事があるといつも考えてしまう。 ある意味では俺の存在が負担となり、 いじめの原因にもなっているのに、 弟は……雪は俺を慕って、兄として尊敬してくれる。 こんな、俺なんかを。
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