#06 * 春雪

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「ただいま。」 弟が帰ってきた。 今日は彼女さんとの初デートで、確か動物園に行っていた。 「おかえり!どうだった? 初デートの感想は。」 「楽しかったよ。時間があっと言う間だった。」 「そっか、良かったな。お、俺の服、よく似合ってんぞ。」 「そうだ春兄!ちょっと相談があるんだけど……」 「言うだけ言ってみなさい。」 「来月、彼女の誕生日なんだけど……」 「プレゼント選びか?よしよし、付き合おう。」 「それもあるんだけど、それとは別に。」 「何……?」 「誕生会をうちでやりたいんだ。春兄も参加して欲しいんだけど……」 「……はぁ?」 「何で、俺まで。」 「えっと、ずっと紹介したいと思ってたし、その……  彼女の体質のことも、相談に乗って欲しくて。」 「相談に乗るのはいいけど、俺は医者じゃないから、何もできんぞ。」 「それは勿論、分かってるんだけど、理解者は一人でも多い方が……」 「理解者ねぇ……」 「それに、彼女も会いたがってるんだ。……ダメかな?」 ……愚問だ、と思った。 俺が弟の頼みごとを断ったことなんて、今まで一度もないんだから。 「いいよ。それで?誕生日プレゼントはどうする?」 「実は……それが、最難関で……」 「どうしうこと?欲しい物は聞いたか?」 「欲しい物は想いつかないって。それで好きな物を聞いたんだけど……」 「何だって?」 「本だって。」
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