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「ただいま。」
弟が帰ってきた。
今日は彼女さんとの初デートで、確か動物園に行っていた。
「おかえり!どうだった? 初デートの感想は。」
「楽しかったよ。時間があっと言う間だった。」
「そっか、良かったな。お、俺の服、よく似合ってんぞ。」
「そうだ春兄!ちょっと相談があるんだけど……」
「言うだけ言ってみなさい。」
「来月、彼女の誕生日なんだけど……」
「プレゼント選びか?よしよし、付き合おう。」
「それもあるんだけど、それとは別に。」
「何……?」
「誕生会をうちでやりたいんだ。春兄も参加して欲しいんだけど……」
「……はぁ?」
「何で、俺まで。」
「えっと、ずっと紹介したいと思ってたし、その……
彼女の体質のことも、相談に乗って欲しくて。」
「相談に乗るのはいいけど、俺は医者じゃないから、何もできんぞ。」
「それは勿論、分かってるんだけど、理解者は一人でも多い方が……」
「理解者ねぇ……」
「それに、彼女も会いたがってるんだ。……ダメかな?」
……愚問だ、と思った。
俺が弟の頼みごとを断ったことなんて、今まで一度もないんだから。
「いいよ。それで?誕生日プレゼントはどうする?」
「実は……それが、最難関で……」
「どうしうこと?欲しい物は聞いたか?」
「欲しい物は想いつかないって。それで好きな物を聞いたんだけど……」
「何だって?」
「本だって。」
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