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「本って言ってもなぁ……随分と広範囲だな、それは。」
「本が好きなのは知ってたんだけど、ジャンルまでは自信なくて。」
「聞かなかったのか?普段の傾向から対策は?」
「無理だよ……本当に何でも読むんだ。純文学からラノベまで。」
来週にはお盆が控えていて、家族旅行の予定もあるが、
どうやら弟は、それどころではないらしかった。
仕方なく本屋に連れ出してはみたが、話しは一向に進まず、
プレゼントも一向に決まる気配がない。
「この際、絵本でもいいんじゃないか。」
「子供っぽくない?内容が伴わないと、読んでもらえない気がする。」
「あるだろ、大人にも人気な絵本。かつ絵が可愛らしい感じの。」
「可愛らしさは大事だけど、気に入ってくれるかな。」
「ほら、これとか。」
「これは確かに可愛らしいね。ありかもしれない。」
「よし、これでいこう! 彼女さん、読んだことないよな?」
「え……確認してない。」
「そりゃあ、生まれてから読んだ本のタイトルなんか、
いちいち確認しないだろうよ。予想だよ、予想。」
「予想……っていっても……わからないよ。」
「まぁ、そうだよな……」
確かに、これは最難関だ。
彼女さんが絶対に読んだことなくて、
尚且つ気に入って貰えて、大事にして貰える本なんて……
「あるじゃないか。」
「どこに?」
「お前の脳みそん中だよ、雪。」
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