#06 * 春雪

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「本って言ってもなぁ……随分と広範囲だな、それは。」 「本が好きなのは知ってたんだけど、ジャンルまでは自信なくて。」 「聞かなかったのか?普段の傾向から対策は?」 「無理だよ……本当に何でも読むんだ。純文学からラノベまで。」 来週にはお盆が控えていて、家族旅行の予定もあるが、 どうやら弟は、それどころではないらしかった。 仕方なく本屋に連れ出してはみたが、話しは一向に進まず、 プレゼントも一向に決まる気配がない。 「この際、絵本でもいいんじゃないか。」 「子供っぽくない?内容が伴わないと、読んでもらえない気がする。」 「あるだろ、大人にも人気な絵本。かつ絵が可愛らしい感じの。」 「可愛らしさは大事だけど、気に入ってくれるかな。」 「ほら、これとか。」 「これは確かに可愛らしいね。ありかもしれない。」 「よし、これでいこう! 彼女さん、読んだことないよな?」 「え……確認してない。」 「そりゃあ、生まれてから読んだ本のタイトルなんか、  いちいち確認しないだろうよ。予想だよ、予想。」 「予想……っていっても……わからないよ。」 「まぁ、そうだよな……」 確かに、これは最難関だ。 彼女さんが絶対に読んだことなくて、 尚且つ気に入って貰えて、大事にして貰える本なんて…… 「あるじゃないか。」 「どこに?」 「お前の脳みそん中だよ、雪。」
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