#06 * 春雪

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ーーーーー 俺たちの家は三階建の一軒家。 一階にリビング、キッチン、父親の書斎、風呂、トイレ。 二階に父母の寝室、母親の仕事部屋、風呂、トイレ。 三階に俺と雪の部屋、空き部屋、トイレがある。 俺と雪は、元々16畳ある大部屋の真ん中に、 二段ベッドを置くことで仕切りを作り、 それぞれ東側と西側に学習机やら本棚を置いていた。 ドアは一つしかなく、俺は奥を陣取っていたので、 自分の部屋に行くには雪の陣地を通過し、 二段ベッドの横の、のれんをくぐらないといけなかった。 俺が中学に入った祝いとして、真ん中に壁を作る内装工事をし、 ドアを一つ増やして、完全に二部屋に区切ったのだ。 俺はシングルベッドを新しく買って貰い、 弟は二段ベッドをそのまま使っている。 「うわぁ、完全に物置と化してるな、俺の寝床。」 「元、でしょ。今は全然使ってないんだから。」 「今日、俺ここで寝ようと思ってたのに。」 「冗談きついよ、春兄。もう足が入りきらないでしょ。」 「まぁそうだな……お前と違って小柄じゃないからな。」 「……うるさいよ。」 「あっはは! 雪も、高校に入れば伸びるさ。」 こういう時は、頭をポンポンしてやれば、機嫌はすぐ直る。 変わってないな……俺も、雪も。 「何で入ってきたの。部屋戻りなよ、春兄。」 「お前の黒歴史を見に来たんだ。書くんだろ?」 「……まだ、決めてないよ……」 頑張れ。 頑張れ。 好きな人を、俺を、みんなを、あっと言わせてみろ。 ーーーーー
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