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「はぁ、はぁ……ふー
あ、いた。
悪い!待った?」
「全然。
ちょい待って。
今いいところなの」
「はあー?
なんなんだよー!」
(はいはい、どうせ優先順位を言ったら下から数えた方が早いよ。
それでも一緒に帰るところまで漕ぎ着けたんだ、ここでめげてたまるか)
「なんか言った?」
「いや、全然。
どーぞ、気にしないで続きをお読みください」
うん、こんな風に彼女を眺め放題なのは悪くない。
小鳥のさえずり、風が木々の枝葉を通り抜ける音、彼女がページをめくる微かな音、窓から差し込む光の煌めきの中、小説に没頭する彼女の姿。
至福のひと時だ……。
「よし、ここまで!
あれ?寝ちゃった?
クスッ
寝顔、可愛いー。
幸せそうな顔しちゃって、なんの夢見てるのかなー
ふふふ、教室でも時々寝てるよね♪
私の秘かな至福の時間……だってことは内緒」
end
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