暗闇の果てで君を想う

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愛している。決して声には出せない思いを、吐息で呟いた。 なあと声を掛ける。 「お前はしっかりしているから私の心配など無用だろうが、愛想はもう少し考えた方がいいと思うんだ」 私がいる間はかまわないだろうが、これからのことを考えるなら愛想は良い方がいい。 限られた者にしか会えない私には空の交流関係は分からないが、空に対する村長の硬い表情といい、良くないのは確かだろう。空の瞳を冷たいと囁く者もいる。 今のままでは心配だ。 「お前からの心配は無用ではない。……私の愛想は気にするな。上手く生きる」 私は本気で心配しているのだが、軽くあしらわれてしまう。 空が言うのだから上手くは生きるだろうが、やはり心配だ。 どうするかと暫しの間悩んで粘ろうかと思ったが、やはりやめた。空は頑固だ。一度決めた考えを空がひっくり返したことは一度もない。 ・
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