暗闇の果てで君を想う

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困った奴だと密かに苦笑する。 「このまま寝てもいいか?」 答えはわかっていたので、聞きながら空の膝に頭を置いて畳に寝そべる。 予想通り、空は優しく微笑むと頭を撫でてきた。聞くまでもないだろうと瞳が言っている。 やはり空の膝が一番落ち着く。枕もこんな心地よさであればいいのだが。 目を閉じれば、心地よさに意識が遠ざかっていくのを感じる。 「雪華」 小さく名を呼ばれた気がした。声音からして呼んでいるのではなく、ただ口にしただけのようだ。 「お前は大丈夫だ」 また小さく呟かれた言葉を遠くに聞きながら、私は眠った。 ・
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