57人が本棚に入れています
本棚に追加
規則正しい寝息を立てながら、私の膝で穏やかに眠る姿は本当に愛おしい。
願わくばこの時間が続くようにと、そう思ってしまう。
「お前はもう少し”生”を知らなければいけない」
透けるように白く、艶やかで柔らかな頬を撫でる。
まだこの子は幼い。普通ならば、同じ年の子と野を駆け巡り、自然の恵みをその身に受けて、死を恐れるほどにすくすくと成長するはずだった。が、現実はかなり違った。
死への憂いすら感じることなく、死することが当然としてこの世を去ろうとしている。あまりに生を知らない幼き子供だ。
「忘れるな」
お前も生ある者であることを。
そして一番に。
「私がお前の味方だ」
なによりも感じて、私を求めて欲しい。
私の全てはお前に求められ、それに応えることなのだから。
・
最初のコメントを投稿しよう！