57人が本棚に入れています
本棚に追加
懐かしい夢を見ていた。
すぐに夢だと気づいたのは、夢の場面が空と初めて会った時の記憶そのままだったからだ。
空はある日突然、村長が私の世話役だと言って連れてきた。姿は不思議なほど今と変わらない。
空のことを世話役と紹介してすぐに村長は立ち去り、部屋には幼い私と空だけが残された。幼き私はまずは挨拶をせねばと思い、空に向かって深々と頭を下げた。
『これからよろしくおね』
『私には畏まらなくていい。普通にしてくれ』
遮るように言われ、目の前に空が屈み込む気配がした。
頭を上げてくれと言われ、暫し悩んだ末に戸惑いながら頭を上げた。すると、私を見下ろす澄んだ瞳と視線が合った。鉄格子越しに見る空と同じ色をしている。
綺麗だと心から思った。魅入られていれば、空はそれを拒絶と勘違いしたのだろう。
『だめか……?』
幾分か沈んだ声で聞いてくる。
だめなわけがない。私は慌てて首を振った。
・
最初のコメントを投稿しよう!