暗闇の果てで君を想う

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小さく笑みが零れた。 ふと瞼を閉じれば私だけに見せてくれる、お前が微笑む姿が浮かんで心が安らぐ。 そのまま微睡んでいると、襖が開く音がした。 「……寝てしまったのか」 小さな呟きに、ほんの出来心が芽生える。 目を閉じたまま耳を澄ましていれば、衣擦れの音が聞こえた。目の前で、空が屈む気配がする。 驚かせようと目を開こうとした時、そっと頬を撫でられる。 「愛している」 驚いたのは自分の方だった。 思わず開いた視界に、優しく微笑む空の顔がある。 ・
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