第四章

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「君って、この本に出てくる子に、そっくりだよね。目とか、鼻とか、口元とか」  そんなに似てるかな、と思いつつも、私はその本の表紙に目を映した。確かに似てるとは思うけど、そこまで似てるって程ではなかった。 「私、こんなに目、大きくないし」  無我夢中で、その本の表紙を見た時の私の感想は、そういうものだったのかもしれない。だから、男性は、その後、何も言ってくることはなかった。  しばらくして、自分の降りる駅に着いたので、私は降りたんだけど、男性はそのまま、電車に乗ったまま、何も言わず、行ってしまった。  また会えるかな、と期待はしつつも、もう会えないという気持ちも出てくると、ちょっと寂しくなる。そんな感じがずっとしていた。
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