第1章

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約束した場所は、あの駅の待合室。言葉通りに、彼女は僕を待っていた。 A「来てくれたんですね」 B「……まあ、ね」 A「返事を、聞かせてもらえますか」 彼女はいきなり核心を突く。 僕は決めていた通りに答えた。 B「断ろうと思ってる」 A「……どうして、ですか?」 B「君といた1ヶ月はすごく楽しかった。もっと一緒にいたいと思った。僕は多分、君が好きだ」 でも。 B「でも僕は、幽霊だから」 おそるおそる僕は彼女の表情を窺う。 そして唖然とした。 彼女はこれ以上ない呆れ顔をしていた。 A「そんなこと」 B「いやっ、僕なんかといたら、君は空中と話してる変な奴だって思われて」 A「関係ありません」 きっぱりと彼女は言い切る。 A「両思い、ってそれでいいじゃないですか」 そう言われては何も言い返せない。 とある涼しい夏の午後。 こうして僕らは付き合い始めた。
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