第1章

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B「かーのじょっ!電車待ってるの?どこまで行くの?何だったら俺の車で送ってってあげようか?」 駅の小さな待合でいかにも軽薄そうな男が女子高生に声をかけた。 駅前のロータリーでは下卑た笑いの男が数人乗った車が停まっている。 A「・・・」 女子高生は全く無視して本を読み続けた。 B「無視しなくてもいいじゃん。俺達とどっか楽しいところ行こうよ。」 A「・・・」 B「おい、ちょっと可愛いからって調子こいてんじゃねえよ、このアマ!」 そう凄むと男は彼女の胸ぐらを掴もうとした。 すると、その手は空振りし、男の体は彼女をすり抜けて無様にベンチに転がった。 男は口をパクパクさせやっと叫んだ。 「で、出た~!」 男は脱兎のように駅前に停車中の自分の車に走った。 ドンッ! 突然、男の体に衝撃が走る。慌てて道に飛び出したので別の車に撥ねられたのだ。 一瞬彼女は音のした方をチラリと見て、またすぐに本に目を戻した。
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