教室の戸を開けたら、そこには

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 二人の間に流れる沈黙の中で僕は、会話のきっかけになるものを探した。  教室の中には、何も見当たらない。僕は、鞄から表紙に自由帳と書かれたノートを取り出した。  僕は、愛奈さんの名前を呼んだ。愛奈さんは、僕の方に向き直ってから、なに?と返事をした。  両親から名前の理由について聞いてきた事を愛奈さんに伝えた。  そうなの?と愛奈さんは、驚いたようすで、僕が手に持っていたノートを見てから、懐かしいと言った。  少し興奮しながら、愛奈さんは、見せてと言って僕の手に持っていたノートを手渡指差した。  僕は、手に持っていたノートを開いてから、名前の意味のページを見せた状態で愛奈さんに手渡した。  愛奈さんは、僕が簡単に書き記した名前の意味を見て『へぇー。良い名前だね。次のページも見ていいかな?』と言った。  その言葉を聞いてから、僕は、慌てて愛奈さんの手元からノートを取り上げようとした。けれど、愛奈さんは、僕の返事を待たないで次のページを捲った。  
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