教室の戸を開けたら、そこには

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 僕は、ペンを取り出してからにノートの白紙になっているページに愛奈さんの絵を描いていった。  僕は、絵を描いている最中に愛奈さんに話しかけた。それは、愛奈さんがこの教室に来ている理由が気になっていたから、僕は、その理由を聞こうと思った。 『愛奈さん。一つだけ聞いて良いですか?』  愛奈さんは、窓の外を見つめたまま僕に気を使っているのか、口だけを動かしながら、『なに?』と返事をした。 『ここに来ている理由って何ですか?』 『懐かしいから』  愛奈さんの発した言葉は、どこか嘘くさいような真実味のあるような曖昧なものだった。  僕は、それ以上なにも聞けずに絵の続きを描くことにした。  それから、しばらくして絵は、描き終わった。  けれども、愛奈さんには、絵が描き終わったことを告げたくなかった。  去年と同じようにして愛奈さんが僕の方に横顔を向けている。僕は、その横顔を見ていたくて絵を描いているふりをした。  その時に愛奈さんと初めて教室で出会ったことを思い出してつい笑みをこぼしてしまった。  愛奈さんは、横を向いたまま『どうしたの?』と驚いた様子で声を出した。 『いや、去年のことを思い出しながら、描いているんですけどなんか、嬉しくって』 『ふーん。私の横顔なんて描いていないのに?』  愛奈さんは、僕の嘘を見抜いていた。そのことに驚いて僕は、ノートとペンをその場で落としてしまった。 
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