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それからのことは、ほとんど覚えていない。走っていたら、いつの間にか家に着いていた。
また、来年になったら来てくれる。僕は、微かな望みを胸に抱いて自分の部屋で泣きわめいた。
僕は、中学三年生に進級してからの夏休みに教室へ行ってみた。
その日は、去年に約束した日にちと同じ8月10日だった。
教室の中に入ってみたが、愛奈さんはいない。代わりに僕の担任の先生が教室に入ってきて僕に手紙とハンカチを手渡した。
僕は、戸惑っていたが先生は、至って冷静だった。
『これって』
『小波 愛奈さんからだ』先生は、それだけ言って教室を出て行った。
先生は、愛奈さんから何か聞いていたんだろうか。僕は、恥ずかしくなって窓側に移動した。窓から入ってくる風に顔をあてながら、先生に手渡された手紙を開けた。
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