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僕は、愛奈さんの笑顔を黙って見つめていた。そんな僕を見て、『いつまで正座しているの?崩していいんだよ』と愛奈さんが笑いながら言った。緊張と馴れない正座で足の感覚がなくなっていたせいなのか、自分が正座のままでいたことに気づいていなかった。
僕は、足を崩してから、その場でしばらくうつ伏せになった。愛奈さんは、まだ笑っている。僕を見て笑ってくれている。たとえそれが、笑われているんだとしても愛奈さんが、喜んでくれているなら、それで良い。そう思うとなぜか嬉しかった。
足の痺れもなくなってきたので立ち上がってから、教室の外を見てみると夕日が沈みかけている。床に落ちていた鞄を拾ったあと、愛奈さんに挨拶をしてから、『この教室でまた、会えますか?』と聞いた。
『来年ね』
そう言って愛奈さんは、教室の窓側に立って沈みかけた夕日を見つめていた。
教室を出て廊下を歩いていたら、愛奈さんが教室にいた理由を聞いていなかったことに気づいた。
教室に戻って理由を聞いてみようかと思ったが、それもなんだか変な気がしたのでそのまま、家へ帰ることにした。
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