第1章

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   開けた教室の扉。  射し込みオレンジ色の暖かい日差し。  柔らかな優しい風が窓から流れ込み、レースのカーテンを揺らしている。  私はと言えば、教室のドアの所で立ち止まっていた。  なぜなら、私の好きな人が窓から外の景色を見ていたからだ。  入りたいのに、変な緊張感が体を支配して動けない。    ーどうしよう……。  「櫻井さん…?」  『っ!!……い、五十嵐君』  ふと見上げた視線の先には、彼がこちらを向いていた。  急に名前を呼ばれて、胸がドクンと脈を打つ。彼を見てますます緊張感が増して声が上擦ってしまった。それに彼がクスッと笑う。  ーうぅ…。恥ずかしい……。  「入らないの?」  と、彼の声。  『う、うん……。』  わたしはおずおずと足を進めて教室に入る。  そう言えば、彼はこんな時間まで何をしていたのだろう。部活には入っていないし、彼の所属している委員会は今日は無いはず。何と無く気になって彼を見れば目が合った。  ドクンッ…!  『ッ!!……』  ー見なきゃ良かった!!  一気に顔に熱が集まって、視線をさ迷わせた。  どうしようと頭が混乱してしまう。  「実は、櫻井さんを待っていたんだ…」  『……ぇ‥?』  ー私を、待ってた…?  彼の柔らかな声が私の鼓膜を震わせた。    「君が、好きなんだ…」  オレンジ色の夕陽の中で、彼は微笑んだ。    私の頬に、一粒の雫が零れた。  あぁ……神様、どうかこのまま…時間を止めて下さい。    
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