教室の戸を開けたら、今が"おはよう"だったかを悩んだ。

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教室の戸を開けたら、そこには何かの授業か、テレビか新聞か、はたまたこの自らの両目で直に観たことのあるような豪華絢爛なお城の、数ある部屋のうちのひとつが広がっていた。 見慣れた教室の一部切れかけた細長い蛍光灯が四六時中照らしていたはずの天井は、ガラス細工のシャンデリアが吹き抜けの天井の途中に這わされた梁に吊り下げられ、光り輝いている。当然のように天井の高さは教室の倍以上あるだろうか。 壁を見れば、右側にはもう価値など一介の高校生には見当もつかなくただただ高級そうな洋風の壺がずらりと並び、さらに誰が描いたとかなにを描いたとかそんなん分かりもしないような、大小様々な絵画が飾られている。額縁もそれぞれ違うようで、おそらく絵に合わせて作られたと思われるこだわりよう。 左側はというと、こちらは壁ではなく隣の部屋にそのまま繋がっているようで、遠くにお洒落な木製のテーブル、お揃いの椅子、飾られた花などが見るからにふかふかしていそうな絨毯の上でちょこんと鎮座している。しかしその高級感の為か、けして周りの調度品や雰囲気にのまれてはいない。
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