第1章

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第1章

   僕の高校生活をギュッと握って丸くしたなら、きっとそれを見た人はライチのようだと思うだろう。赤と紫と黒を混ぜ合わせて暗いとこだけとったような色合いをそれはしているし、またいざ触れてみると、見た通り肌触りは決してよくない。  別にライチの悪口を言っているわけではない。僕はライチがむしろ好きだ。味はもちろん、砂を触ってるみたいな気持ちにさせる皮を一度剥けばなんと白い実が出てくるのだろうか。ぷるんと、実が跳ねるように皮が剥けるのもまた気持ちのよいものだ。  さて、僕がライチのように純白な存在だと言っているのではない。こんな気持ちの悪い自画自賛があるはずもない。そもそも僕は自分が汚い惨めな存在だと受け入れている。ひょっとすると、僕がライチを好きなのは、果ては種まで気にせず飲み込むのは、あるいは気にしているのかもしれない。少しでもその純白で僕を薄めて欲しいのかもしれない。ブラックコーヒーの中にミルクを垂らすように。誰にも見えなくなるような存在に変わってしまうほどでも。  
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