第1章

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教室の戸を開けたら、そこにはいつもと変わらないざわめきがあった。 呆けて動けない私の後頭部に軽い衝撃。 「おはよ、なに突っ立ってんの?」 そこには小学生からの腐れ縁で、同じクラスになる頻度もやけに高い悪友がいた。 「…おはよ」 まだ状況を飲み込めずに刮目したまま小さな声で返事をすると、友人は変なのぉと笑いながら通り過ぎて行った。 その姿を目で追う。 快活な彼女によく似合うポニーテールが跳ねて、クラスメイトと挨拶を交わしている。 (なんだ、これは…) ふと、自分の姿を見下ろすと学校指定のセーラー服を着て、同じく指定の上履きを履いている。 目の前の光景に溶け込んで、ただの群像となる、そのための制服。
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