沈まぬ太陽、明けぬ夜

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 決戦が始まってから、どれだけの時間が過ぎただろうか。千年? 万年? 億年? あるいはそれ以上? 単位が意味をなさなくなるほど、あまりにも長い時間が過ぎた。  人間と魔族が滅びた後にもいくつかの種族が現れたが、その全てがもはや悠久の彼方に去ってしまっていた。  もはや、この世界には何も残されてはいない。空虚な世界にそびえたつのは一つ、半永久金属で作られた一つの城。その城ももはや風化しつつある。  それでも、勇者と魔王は戦い続けていた。 「何のために?」  魔王は再び問う。 「何のために戦うのだ、勇者よ。教えてくれないか」  その声に感情はない。何も感じさせない、真っ白な声。まるで時の流れが、感情の起伏を全て平らに均してしてしまったようだ。  それでも、今度は勇者もその問いに答える。
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