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かま猫に近づく黒い猫がいた。
「クロ。ご挨拶しなさい。奈菜実さんに」
「こ、こんにちは」
かま猫が紹介してくれる。
「キキジジさん家のクロっていう子猫でして、元事務所に来ては猫の歴史や地理を教えてほしいって言うのです」
私は言いました。
「教えてあげて。ボランティアや社会奉仕と思って、クロに歴史や地理を教えてくださらない」
かま猫は困りました。
「事務所は廃止され、事務所に鍵がかかりました。資料や本も事務所の中にあるのです。教えたくても無理なのです」
私は叫びました。
「獅子よ。隠れているなら、出て来てください」
獅子は電信柱の後ろから、のそのそと出て来ました。
「何か用事でございますか」
私は優しく語りました。
「ねぇ、獅子さん。願い事があるの。叶えてほしいの」
「私にできることでしたら何なりと」
私は、大きな声で御礼を言います。
「獅子さん。ありがとう」
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