第1章

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 堀口は満足そうに「がはは」と笑った。  「そうなんですか。ありがとうございます。何しろ初めてなんで勝手がわからないのでい色々とご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願い致します。」  「そんなにかしこまらなくていいですよ。初めは誰でもそうですし、次第に流れもわかってきますから。当社選任のカメラマン・スタッフが指示を出しますのでそれにしたがって結菜ちゃんが笑ってくれていればそれでいいんです。難しいのは泣いてしまう時だけですよ。それをいかにあやして笑顔を取るかはこちらの腕ですからね。」  「ギャラはどれぐらいもらえるんでしょうか?」  「今回みたいなチラシで大体五千円から一万円が相場です。カタログや雑誌なら一日で二万円前後です。ただ我が子が笑っているだけでこんなにお金が入ってくるんですからいいですよね。」  堀口はにやりと笑った。恵子は気持ち悪かった。どうせ事務所が一番手数料やらマージンなどで儲かっているのに決まっている。一番おいしいのはお前じゃないか。  「通常、この業界だとお金の支払いに時間を頂いています。今月の仕事が来月の末、もしくは再来月になるということです。ですが、当社は特別に現金でその日にお渡ししているんですよ。いいでしょう。」  それは恵子にとってありがたかった。何しろ登録料だけで何十万もすでに使ってしまっている。一日も早くもとを取りたいのだ。  「ありがたいですね。では今日の分も頂けるんですね。」  「もちろんです。一万円お支払します。家族で美味しい焼肉でも食べられますよ。そういえば今日は旦那さんはいらっしゃってないですね。」  「ええ‥。今日は会社のゴルフがあるみたいなんですよ。」  「そうなんですか。是非今度は旦那さんも一緒にいらしてくださいよ。結奈ちゃんの可愛い撮影風景もみたいでしょうしね。」  その後、指定されたスーパーに移動し撮影を開始した。結奈も初めはぐずっていたがカメラマンの匠な誘導でおとなしく写真撮影に応じていた。撮影は半日で終了し、ギャラを受け取って別れた。ぐったりと疲れ果て帰りの電車で、恵子は泥のような眠りに入った。    第八章
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