第1章

2/35
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
[秘密] サラリーマンの岩間竜一はいつも金に困っていた。そんな時夢を追う女子高生の堀口優花と出合う。妻の恵子はわが子をベビーモデルにしたがっていた。それぞれが抱える秘密が絡み合い、最後には意外な結末を迎える。 第一章 出会い 第二章 ベビーモデル 第三章 豪邸 第四章 預金通帳 第五章 すくすくプロモーション 第六章 家庭教師 第七章 初めての撮影 第八章 喫茶店 第九章 優花の家 第十章 ベビーモデル続き 第十一章 スーパーにて 第一二章 ビジネスシューズ 第十三章 堀口と美雪の密会 第十四章 週末の日曜日 第十五章 優花の両親 第十六章 恵子と堀口 第十七章 お互いの秘密 第十八章 ラブホテル 第十九章 警察 第二十章 仲直り 登場人物 岩間竜一 大手メーカーに勤めるサラリーマンいつも小遣いが少なく悩んでいる。 岩間恵子 竜一の妻。娘の結菜を内緒でベビーモデルにしようともくろむ。 堀口優花 女子高校生。歌手になるのが夢でストリートでギターをならしている。 堀口岩男 優花の父ですくすくプロモーションの社長 岩崎さやか 恵子のパート先の若い母親 川崎美雪 優花の家庭教師。有名私立大学に通っている。  第一章 ビジネスシューズ  「くそっ。」岩間竜一は悔しそうに吐き捨てた。またこのくたびれたビジネスシューズで出勤するのかと思うとうんざりした。もう半年以上はゆうに履いている。毎日履いているので靴の中が蒸れてしまって気持ち悪いのだ。こないだ百円ショップで買ってきた中敷きでしのごうとしたがやはり気持ち悪さが残る。意を決して嫁の恵子に買ってほしいと頼んだのだがまだ履けるの一点張りで買ってくれなかった。「ぱっと見は綺麗でも中は汗を染み込んで蒸れ蒸れなんだ。一度お前が履いてみろ。」そう言いたかった。  岩間は三十代半ばのサラリーマンで営業の仕事をしている。十年以上同じ会社にいるものの、いまだに役職はなく平社員である。恵子は完全に竜一を下にみて馬鹿にしていた。竜一はどうにもその性格が許せなかった。しかし給料が少なく、家では完全に立場が弱かった。月の小遣いは二万円しかなく、毎月給料日前になると財布にまったく金がなくなった。おまけに恵子は何でもかんでもその少ない小遣いのなかからやりくりをさせようとしてくる。床屋代、仕事に必要な文房具、皮膚につける薬や、薄毛対策のサプリメントなどを差し引くとまったく足りなかった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!