第1章

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不満だった。竜一は普段は立ち入らない牛革製の靴があるコーナーに行った。光沢があり、すっと足を入れてみると靴の形に合わせて中は隆起がしており歩くと足にぴったりとフィットし実に気持ち良かった。 値段は五千円前後したが問題なかった。思ったより先日優花の家から拝借したチケットが高く売れたのである。 レジですぐに靴を履きたい旨を伝え、金を払った。靴を履き替え、今履いていたくつはゴミ箱に投げ入れた。 爽快感を感じながら家で飲むビールを買おうと一階の食料品コーナーに入って足を止めた。視線の先には優花がいた。偶然ではあるが、バツが悪い。チケットを盗んだことはばれてはないはずだ。そっとその場を立ち去ろうとしたが、普段と様子の違う優花が気になった。周りをきょろきょろと見渡し、落ちつきがない。竜一は優花の視線に入らないようにしながら逆に優花の行動がわかる位置に回
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