第1章

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「透明な文ってどう書けばいいと思う?」 僕は彼女の突然の言葉に驚く。 ツタが壁を覆うこの木造校舎はもうすぐ壊される。 彼女は真っ白なノートをパラパラとめくる。 この場にいるのは僕と彼女だけだ。 「いきなりどうした」 「ん?お話しを書こうと思って」 どこか冗談じみたように話す彼女は埃の被ったイスに座る。 「何ページくらい?」 「四百文字くらいかな」 作文用紙一枚のお話しとはまた随分と短い。 「ふふ、書いたらあげるね」 彼女は笑う。 「貰ってあげるよ」 楽しそうな彼女に僕もつられて笑った。 あれから数年。 木造校舎は壊されることはなかった。 僕は置いてきぼりにされた、埃まみれのノートを手に取りページをめくる。 彼女の文字に辿り着き、彼女の文思わずに笑った。 「さて、アイツに届けてやろうかな」 僕と彼女の関係は? いい加減、恋人にしてください。
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