第1章

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教室の扉をあけると、そこには青空が広がっていた。 もう既に一歩足を教室に踏み入れていた僕は、重力に逆らう事無くそのまま青空へと吸い込まれた。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 自由落下に抵抗出来ずにまっ逆さまにどんどん落ちる。 頭上を見上げれば、そこに広がるのは広大な街並み。 遠くにスカイツリーが見えた。 (良かった。ここは東京だ。) 何故かそんな事に安心した。 しかし、僕の落下は止まらない。 中々近付いて来ない地面に気をよくした僕は、ここぞとばかりに景色を楽しんだ。 (こんな場所から東京を一望出来るなんて、滅多に無いもんな。) あっちにスカイツリー、こっちに都庁… あの広大な緑は皇居かな? 本当に呑気に空中を落下していた。 (あれ…あの形…見たことあるぞ…) 僕の着地予定地の建物が目に入った。 (あれは…そうだ!僕の通う学校じゃないか!) 僕はその事に気付くと、もう校舎以外の建物は目に入らなかった。 僕は僕の通う学校に落下して死ぬんだ。 自殺とか言って、騒がれちゃうんだろうな。 (あ!ヤバい!PCのエロ画像とHDのアニメ消してないし、Twitterとかのアホな呟きが晒されてしまう!) きっと僕の死は大々的に報道されるだろう。 死んだ僕の人権なんて無視されちゃうんだろうから、きっと僕の過去をほじくり返して、コメンテーターが『どうして自殺なんてしたんでしょう…』とか、どうでもいいって思ってる癖に神妙な顔して語り出すに決まってるんだ。 (うわ…嫌な死後だなぁ…) どんどん近付く校舎の屋上に、人影を見付けたのは、そんな時だった。 (…誰…?)
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