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中学校では最初、道輝とは同じクラスだった。
まわりの半分くらいが知らないやつという新しい環境の中だ。
とりあえず今までの友達を寄せ集めて居場所をつくるよな。
そこからだんだんと、日にちをかけて友達の輪を広げていくわけだが、そんな時、俺は重い病気にかかっちまったんだ。
入学後半月くらいだったのに、入院4ヶ月を言い渡されてな、それはもう絶望だった。
新しい友達を作る機会もなくなって、ちょうど夏休みまでなくなっちまう。
最悪な気分だったな、この世の終わりのようだった。
そんなふうに出鼻をくじかれた俺にとっては、面会だけが希望になっていた。
時間がかかる病気なだけで、特に隔離とかはされてなかったから、人が会いに来るのはほぼ自由で、いろんな人が来てくれたな。
親戚とか、知り合いの家族まで来てくれたが、小学校時代の友達が1番多かった。
あれにはほんとうに助けられた。
会いに来ては騒ぐし、新しい友達だとか言って、そいつを連れてきたりして、俺も友達になったり、ゲームをしに来たり、いろいろと励ましてくれた。
だがそんなふうに、たくさんの人が来たのも、最初だけだった。
だんだんと面会は減っていった。
仕方のないことだとは思った。
思い込んだ。
だが道輝だけは、ずっと途絶えずに来てくれていた。
週に2回くらい必ず会いに来てくれて、昨日のテレビだとか、スポーツ選手だとか、漫画の話だとか、まあ普通のことを2人で話したりした。
一応勉強もゆっくりながらしていたから、それを教えてもらっていたりもしたな。
道輝と話している間が1番楽だった。
リラックスできるというか、安心感があって、だから、俺はつい、あいつの前で弱音を吐いたりしちまった。
みんなに忘れられてないだろうか、勉強はもうついていけない気がする、退院できてもクラスに馴染めるだろうか、そもそも退院できるのか。
いろいろと、不安をぶつけて言っちまった。
そのたびに道輝は、大丈夫だと励ましてくれて、俺もなんとか塞ぎこまずにいられた。
・・・・・道輝のおかげなんだ。
あいつがいなかったら、あの時間を耐えられなかったかもしれない。
あいつには、ほんとうに感謝しきれない。
だが、退院まで1ヶ月を切った頃、道輝の姿が見えなくなった。
そして八月の始めの頃、俺は道輝が自殺したのを知った。
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