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「好きだ」
壮一郎は唇を離して、ようやくその一言が言えた。夕花は順序が逆じゃない?と笑っていた。
二人はしばらく笑いあった後、もう一度唇を重ねた。
淡い淡い、レモン味のファーストキスだった。
その日から壮一郎と夕花は交際を始めた。お互い別々の大学を志望し、そのまま違う大学に進学することになっても、その関係は続いた。
級友達には伝えていなかったので、同窓会で初めて報告をしたときは、大きな騒ぎになったことを壮一郎は思い出す。
本当に楽しくて、幸せに満ちた日々だった。この人とこのままずっと生きていけたら、そんなありふれた、でもとても大切な気持ちが壮一郎の中で満ちていたのだ。
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