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教室の戸を開けたら、そこには赤い、黄昏が広がっていた。
赤い、赤い黄昏だ。
赤い黄昏ですべてが埋め尽くされ、日常の俺を包んでいたあの空間は蒸発していた。
照れ屋のニシモトがからかわれ、リーダー的存在であるホンダが静かにほほ笑む。
学級委員のアカネがやかましく周りを注意し、担任のイツキ先生が何度も頷きながら俺たちを見守っている。
そんな、どこにでもあるような、どうしようもない日常。
毎夜行われる父と母の喧嘩から逃げ場を探していた俺にとっては、そのどうでもいい空間が、何よりの居場所だった。
だが、一瞬だ。
一瞬にして、俺たちの青春は、俺の居場所は。
赤い、赤い黄昏と閃光に包まれた。
そして、
戦争が始まった。
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