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「おい!ここにいたらヤバイって、逃げるぞ!」
ゆさゆさと僕を揺すりながら声が聞こえた。目を開くと頭から夥しい血を流しているケン坊の姿。
ヒュードカン!ヒュードカン!
「うわぁぁぁーーー!!!」
ケン坊は狂ったように叫びながら逃げていったが、運悪く衝撃音が聞こえた瞬間べちゃべちゃに血まみれになって、ぐちゃぐちゃに潰れていた。
目の前の死。わかるだろうか?今さっきまで一緒に笑っていたケン坊は人の形をしていない。そして焼けていくケン坊主。
黒い煙りの中に白い煙りが混じる。爆弾と焼け焦げる臭いで目と鼻が痛い。
「ああああああああーーー!」
僕は叫びながら立ち上がり、教室の戸を開けたんだ。
地獄絵図とよく言うが、僕がみた光景はそんな生易しいモノではなかった。
頭のない人をみたことありますか?手がない親友は?すでに死亡している人や酷い怪我をしている同級生達。
シロウは必死になり自分の手を探していたよ。叫びながら燃えながら。シロウはもう助からないがその時はまだ生きていたんだ。
「助けて。」
小さい声、メグの声。僕はメグのことが好きだったんだ。メグは足を瓦礫に挟まれて動けなくなっていた。
「メグー今、僕が助けるからな頑張って!」
瓦礫に挟まったメグの両足。血が血が血が。
「おい!みんな手伝ってくれ!」
僕は叫んだが、
「空襲が止んだ!馬鹿メグは助からない、はやく逃げろー。」
生き残った同級生は教室の壊れた窓から逃げ出していった。
「クソー!クソー!クソー!」
瓦礫の山は重機がないとどかせないほどに重く手を怪我した僕、怪我をしていなくてもどかすのは不可能だろう。
「メグ、がんばれ!がんばれ!」
身体全体を使って必死に瓦礫に挑むが無駄な努力だった。メグの顔色がどんどん悪くなる。
「メグ大丈夫!すぐ病院へ連れていってやるからな!だから、もう少し頑張ってくれ!」
火の手が強くてゴォーゴォーと教室は今にも炎に呑み込まれそうになっていた。
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