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「気がすんだか?」
和樹は気を許した恋人にするように
僕の胸元にぺたりと頬を寄せたまま
一向に動こうとしない。
「誰にでも甘えるなよ。特に僕には――」
何をするか分からないぞ?
言えば
つるつるした子供みたいな肌に
そぐわない疲れ切った瞳が泳ぐ。
やがて
「……されたことがなかった」
「ん?」
ポツリ。
声にならない声で漏らした。
「僕は……愛されたことがなかった……」
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