episode162  バスタブの悪魔

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「気がすんだか?」 和樹は気を許した恋人にするように 僕の胸元にぺたりと頬を寄せたまま 一向に動こうとしない。 「誰にでも甘えるなよ。特に僕には――」 何をするか分からないぞ? 言えば つるつるした子供みたいな肌に そぐわない疲れ切った瞳が泳ぐ。 やがて 「……されたことがなかった」 「ん?」 ポツリ。 声にならない声で漏らした。 「僕は……愛されたことがなかった……」
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