道と自転車

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時代は戻って幼い子供のころ。 小学4年生だったか。 家の近くのJRの線路脇にある児童公園に自転車で出かけた。 友達と遊ぶためだ。 なにかの記念の石碑なのか、かなり大きいものがある。 向かいには市立の幼稚園。 生まれた場所はここの地ではなく、もっと都会だ。 2年前に引っ越してきた、どう見ても田舎の町だ。 なので、この幼稚園には通っていない。 通っていた幼稚園に、飛行機型のジャングルジムがあって、よく遊んだものだ。 今もあるのだろうか? 話は目の前の児童公園に戻して、ここの遊具設備は余り充実していない。 砂場と鉄棒、石製のすべり台、藤棚とベンチ、定番のブランコ。 木々は数本だけで見通しのいい、今だとかなり広いものだと思う。 土のある空間がやけに広い。 そして友達と遊んだ帰り道に事件は起きたのだった。 半ズボンのポケットを探るとなぜか輪ゴムが入っていた。 その時ふとおもしろい遊びを考えたのだった。 輪ゴムを飛ばして、自転車でキャッチしよう! 我れながら、バカな子供だと思う。 このあとの驚愕の一瞬など知らずに。 児童公園脇の舗装した道でやってみた。 自転車のペダルを思いっきり回した。 (輪ゴム、発射!) 空高く舞い上がった輪ゴム。 そんな小さなものがよく見えてたな、と今さらながら思う。 (ナイスキャッチ!) 右手を伸ばさなくてもいい位置に輪ゴムが落ちてきた。 (よし、もう一度) 自転車を元の位置まで戻した。 ペダルをめいっぱい回した。 (発射だ!) (あ、少し遠いな) さらにペダルを回した。 風景がすごい速度で後ろに流れる。 まだ遠い。 お尻を上げ、右手を目いっぱい伸ばした。 (え?!) いきなりの無重力感。 まわりの風景は流れていたのに、なんだろ、回ってる? 我に返ったとき、ハンドルは左手でしっかりと握っていて、伸ばした右手の肩からキレイに回転したようだった。 まるで、柔道の受身のように。 この当時は柔道のことなんて、まるっきり知識はなかった。 横倒しになった自転車に左脚を挟まれていたが、大した痛みはなかった。 しばらく呆然としていたと思う。 そして何事もなかったかのように、家路を急いだ幼い私なのであった。           おわり
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