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 いつもの真琴らしくなく、忙しげに着ているものを剥がれる。はあっと欲情のため息を吐く真琴が、むき出しになった肌に唇を寄せ、吸った。  日にさらさない部分は意外と色白な伍紀の肌は、ところどころに赤い斑点が浮き上がる。 「あっ……わりぃ」  普段跡をつけられるのを嫌がっていたから、真琴が申し訳なさそうな顔をする。自分でも相当とち狂っていると思うが、むしろ今はそれをうれしいと感じていた。だから首を振ると真琴はほっとしたような表情になり、同じ箇所を愛しげに舌で愛撫してくる。 「はあっ……あ……んっ……」  薄い玄関の扉、すぐ向こうは外の廊下だ。いつ人が通るかわからない。抑えようと思っても声が出そうで、伍紀は必死に堪える。  中途半端に脱がされた服。真琴にいたってはカーゴパンツを下着ごとずり下げ、そこを露わにしただけだ。  こんなに余裕のない仕草をする真琴を見るのは初めてだ。だが、自分のせいでそうなっているのがわかるから嬉しい。伍紀は真琴の中心に手を伸ばしてさする。真琴をみつめ、舌を出して伸ばした。 「真琴さんの、挿れていいよ……ここに」  動けないふたりのそばに潤滑剤などはないから。だが真琴は少しの躊躇を見せる。なぜ、いつもみたいに強引に来ないのだろうと思うが、それもまた愛しい。 「後ろに挿れるみたいにしていいから……」  いっそのこと息が出来なくて嘔吐く程、ぶち込んでくれてもいい。真琴を感じたい、真琴に気持ち良くなって欲しい。真琴の思うまま――自分を求めて欲しい。 「伍紀、そんなに俺が好きか?」  こくこくと何度も頷くと、そっと指で目元を拭われてはっとする。余裕のなさを見透かされて、少しだけ我に返って恥ずかしくなった。伏せた瞼に、そっとキスをされる。 「俺はもうずっと、お前だけのモンだぜ」  その言葉にぶるりと体が震える。もう待ちきれない程昂ぶっていた。窮屈な体をずらし、真琴のものを咥える。 「んっ……く、うっ……」  丹念に舌を使い舐め上げる。時折指を上下させると、そこはみるみる硬さを持った。真琴の抑えた声が聞こえるたび、ぞくぞくして視界が潤む。
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