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「えっ……もしかして新しいあいつらも…………?」
市田はいまさらですか? と呆れたように佐々木を見やった。
「どうみたってそうじゃないですか。オーナーなんて早々に危機感を感じて新人バイトくんたちに咬みついてましたから」
「そうなのか?」
「月川さんにちょっかいだしたらタダじゃおかないって牽制しまくってましたよ」
「うわ、マジか。自分のしたことを棚に上げて、よく言うよねえ。だけど月川ならそんな心配必要ないよなぁ。真琴にベタ惚れみたいだし」
「そうですベタ惚れです。所長、だから無駄話はこれくらいにして早く仕事してください」
「うわー、ふてぶてしくてかわいくない。てか、ベタ惚れってすんなり認めちゃってるけど」
否定するのも面倒だし、本当のことなので仕方ない。
目下の悩みはこの、公私混同しやすい環境をどう乗り越えていくかということだ。自分でも信じられないけれど、仕事はとてもやりがいがあるので、一生懸命取り組みたい。
「あの、市田さん。所長抜きでお昼行かない? 午後から出なきゃいけないから」
「いいですね。ここ、うるさいですもんね」
「なんだよ、俺はのけ者か」
ぼやく佐々木を置いてエレベーターを降りる。ビルを出るとこちらにも、シアトル系カフェの前で仏頂面の男性がひとり。
「俺、お邪魔でしたかね」
こちらを見ている真琴に気付いた市田は、申し訳なさそうな顔をする。
「そんなことないよ……真琴さん、いい加減奇襲かけるの、やめてもらえませんか」
「なんだよ、つれないな。事務所に乗り込まないだけましだろ」
言い争うのも面倒になって三人で定食屋に向かう。これも最近よくあるパターンだ。
定食屋に連れ立って入り、注文を終えると市田が控えめに切り出した。
「どうした、改まって」
「おふたりがちょうど揃っているので、ちょっとお願いがあるんですけど」
「蓉がお願いなんてめずらしいな」
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